本日は、占星術のサビアンシンボル「30度」について考えてみたいと思います。
30度は、そのサインの「総決算」となる度数です。
サビアンシンボルとは?
まず、最初にサビアンシンボルについて説明します。
サビアンシンボルとは、簡単に言うと、1つの星座を30等分し、1度づつの意味を出したものです。
たとえば…
- 牡羊座1度…「女性が水から上がり、アザラシも上がり彼女を抱く」
- 牡羊座2度…「グループを楽しませているコメディアン」
- 牡羊座3度…「彼の祖国の形をした男の横顔の浮き彫り」
…など
牡羊座~魚座まで「合計360個」の意味が出てきます。
星座(サイン)の30度は、サインの「総決算」!
今回、考察するのは、サビアンシンボルで30度にあたるシンボルです。
サビアンシンボル30度 | |
---|---|
牡羊座30度 | アヒルの池とそれが育む子供たち |
牡牛座30度 | 古代の芝地をパレ-ドするクジャク |
双子座30度 | 海水浴をする美女たち |
蟹座30度 | アメリカ革命の娘 |
獅子座30度 | 開封された手紙 |
乙女座30度 | 目の前の用事に集中し過ぎて、聞き逃した間違い電話 |
天秤座30度 | 哲学者の頭にある三つの知識のコブ |
蠍座30度 | ハロウィンの悪ふざけ |
射手座30度 | 法王 |
山羊座30度 | 秘密のビジネス会議 |
水瓶座30度 | アーダスの咲いている野原 |
魚座30度 | 巨大な石の顔 |
サインの「まとめ」をして離れてゆく
松村潔先生の「ディグリー占星術」によると、30度は「サインの総決算」となります。
そのサインの全てが「対象化」され、吐き出されます。
つまり、そのサインから離れて、次のサインに移動して行くことになります。
松村先生は
- 今までのサインの特質が洗いざらい出て統合化される。
- 同時に、終わりの度数のため、ここから離れて行かなくてはならない。
- もうこのサインはまっぴらだといった姿勢になることも多いかもしれない。
…とおっしゃっています。
30度は、サインの「まとめ」をして離れてゆく度数なのですね。

ちなみに、この記事は、松村潔先生の「ディグリー占星術」と「愛蔵版 サビアン占星術
」を参考にさせて頂いてます。
サビアンシンボル「30度」各サインの意味
では、各サビアンシンボルの意味をまとめておきます。
牡羊座30度「アヒルの池とそれが育む子供たち」
最後は古くて懐かしい道に戻る
牡羊座29度「天球の合唱隊が歌っている」では、宇宙的な力に関心が向かい、広大な宇宙に投げ込まれました。
松村先生は、以下のようにおっしゃいます。

色々チャレンジしても、最後は、古くて懐かしくて自分らしい道(牡牛座)に戻るのですね。
このサビアンシンボルの方は、自分のなじんだものの中に、「自分の目的」や「真の意義」があることを自覚します。
探し求めていた「自分の本性」や「進むべき方向性」が明らかになるのですが、しかし、それは自分が慣れ親しんだものであったことに気づき、結局、自分にふさわしい場所に戻って来るというわけです。
牡牛座30度「古代の芝地をパレ-ドするクジャク」
自分の持てるセンスを全て動員し、表現してゆく
牡牛座は、個人的な感性を鍛え、伝統的なものや文化や芸術とも結びついてゆくサインでした。
牡牛座30度「古代の芝地をパレ-ドするクジャク」では、自分の持てるセンスをまとめ、全て動員し、表現してゆくことになります。
ただし、松村先生によると、しばしばやり過ぎな表現になることが多いようです。
今までの「芸術能力」や「センス」をすべて放出するのですが、非常に派手な表現力となることがあるようです。
双子座30度「海水浴をする美女たち」
集団(平凡さ)の中に飲み込まれる前の最後の個人主張
双子座は、個人の能力として誇示できるものはここで全て使い切り、次の蟹座の集団性に引き込まれてゆきます。
このサビアンシンボルは、集団(平凡さ)の中に飲み込まれる前の「最後の個人主張」と言えるようです。
自分を多くの人にアピールしたい、有名になりたいなどの願望が強い度数かもしれません。

派手で楽しい事が好きな人が多いようですよ。
蟹座30度「アメリカ革命の娘」
自分が慣れ親しんだ環境に「善意」や「愛着」を抱いているが、その環境から離れる時が来る
このサビアンシンボルの人は、自分が慣れ親しんだ環境に無条件に「善意」や「愛着」を抱いたかもしれません。
たとえばの話ですが、
アメリカに住んでいる人の多くは、アメリカが好きのはずです。
そして、客観的に見て、どんなにアメリカが悪行をしていようとも、それを愛着ゆえ許してしまう傾向などがあるかもしれません。
しかし、やはり、そこに正当性がないことを悟ると、その環境から離れる時が来ます。
松村先生は
・・・とおっしゃっています。
獅子座30度「開封された手紙」
コダワリがなくなり、自分が持っているものを、惜しげもなく多くの人に伝えようとする
獅子座は、自分の主観的な「火の力」がパワーの源泉でした。
ですので、他とのギャップがあることで燃え上がることができました。
まわりに理解されないことで、ますます闘志が湧き上がると言うような感じです。
ですが、獅子座30度では、そのようなギャップがなくなり、獅子座からの離脱が始まります。
獅子座30度「開封された手紙」では、自分が得たものを惜しげもなく多くの人に伝えようとします。
ギャップを自ら無くしてゆくのです。
そのため、秘密を守れず、何でもオープンにしてしまう可能性もありそうです。
松村先生は
- 今までのクリエイティビティが空になり、乙女座の土のサインに吸い込まれる直前
- そのため、とことん自分が持っているものすべてを吐き出す性質がある
- 広報や伝えたいことを話し続けるところがある
・・・とおっしゃってます。
乙女座30度「目の前の用事に集中し過ぎて、聞き逃した間違い電話」
「木を見て森を見ず」から離脱する
乙女座30度のシンボルは、「目の前のことに集中するあまり、間違い電話がかかってきたのに気づかなかった」…と言う意味です。
ここで言う「間違い電話」とは、一見どうでも良いことのように思えますが、実はとても大切な「何か」だったかもしれません。
乙女座は「木を見て森を見ず」…つまり視野が狭くなりがちです。
乙女座30度「目の前の用事に集中し過ぎて、聞き逃した間違い電話」では、乙女座のそのような資質を吐き出し、次のサインへと離脱してゆきます。
常識的なことや小さなことにこだわっていると、色々な外界の情報が遮断されてしまい、大切なものが見えてきません。
そういうことに思い至り、そこから離脱してゆくのです。
松村先生は
- 乙女座は個人の人格の中に閉じこもることだから、それを明け渡す必要がある
- 個人で閉じてしまう行為が有害性を発揮する
- それを自覚することですっきり変わることができる
・・・とおっしゃってます。
天秤座30度「哲学者の頭にある三つの知識のコブ」
自分の哲学がまとまるが、ただの知識には現実を変革する力はないことに気づく
天秤座は、30度「哲学者の頭にある三つの知識のコブ」で、自分の知性が最終的に完成にいたります。
物事を観察し、考察し、それについて話すことができるようにもなりました。
…それが、哲学者の頭にある三つの知識のコブです。
しかし、あくまで知識は知識でしかなく「実践」ではありません。
このサビアンシンボルの人は、知恵や知識が完成に向かい、自分の哲学や生き方がまとまります。
しかし、ただの知識には現実を変革する力はないことに気づき、そこから離脱を始めます。
蠍座30度「ハロウィンの悪ふざけ」
シリアスな関係性を地に落とし、しがらみから脱する
蠍座29度「首長に自分の子供たちの命乞いをするインディアンの女性」では、慣れ親しんだ古い世界からなかなか離れることができませんでした。
しかし、蠍座30度「ハロウィンの悪ふざけ」では、そのしがらみから抜け、蠍座から射手座へ移行してゆきます。
本来は怖いものであるハロウィンを茶化し、ギャグのようなものにしてしまうことで、シリアスな関係性を地に落とし、蠍座のしがらみを抜けると言うわけです。
松村先生は
・・・とおっしゃってます。
射手座30度「法王」
精神的な探究をやめ、自分の持てる物を周りに広めて行く。その結果、法王のような権威的なものになってゆく。
射手座は今まで、精神的な探究をすることでテンションを保っていました。
しかし、30度ではそれを手放し、次の山羊座に進まなくてはなりません。
射手座30度「法王」では、精神的な探究をやめ、自分の持てる物を周りに広めて行きます。
その結果、自分の火のテンションは落ちますが、法王のような権威的なものになってゆきます。
人によっては、「権威の獲得」に興味を持つようになるかもしれません。
松村先生は
- 精神的に上位の次元に拡大してゆくという意思をあきらめ、持てるものを下位の次元(身近な環境)に明け渡すという決意をする。
- 上に向かわずに横に広がる関係性の中で、彼はこれまで追求しなかった権威の獲得に興味を持つことになる。
・・・とおっしゃてます。
山羊座30度「秘密のビジネス会議」
「秘密の知識」は社会に受け入れられないもの。そこで、別の場所で新しい理想郷を創造しようと考え始める
山羊座は28度と29度で「広い視野」と「情報」を得ました。
山羊座30度「秘密のビジネス会議」では、その情報を元に秘密の会議をしています。
これは、社会の頂点にいる人が、独占的な知識を持って、方針を決定しているという状態です。
しかし、その知識は公にすることはできません。
なぜなら、それらはたいてい「既存の社会」に受け入れられないものだからです。
この度数の人は、秘密の知識や異質な意見は社会に受け入れられないものだと言うことを知っており、別の場所で「新しい理想郷」を創造しようと考え始めます。

火星とかに「秘密基地」を作りそうな感じですね。
松村先生は
・・・とおっしゃってます。
水瓶座30度「アーダスの咲いている野原」
あらゆる差異、区分、性質の違い、すべてのこだわりがなくなる
「アーダスの咲いている野原」は、古代バビロニアの神秘的な牧場のことだそうです。
松村先生は、人はこういう場所を通して時間や空間を超越し、真の「普遍」へと至るのではないかと、おっしゃっています。
水瓶座30度「アーダスの咲いている野原」では、あらゆる差異、区分、性質の違いなどが解体され、すべてのこだわりがなくなります。
空間性や時間性を超越し、次の「魚座」に移行します。

このサビアン・シンボルの方は、他人との間に壁を感じさせない方が多いと思います。
松村先生は、「人類みな兄弟、人類みな友達といった、どのような人とも親しめる状態を表している」とおっしゃってます。
魚座30度「巨大な石の顔」
深い眠りに入り、舞台が暗転する
魚座30度「巨大な石の顔」は、12サインの最後の度数です。
今まで追求・獲得してきたエッセンスが、その人の顔として結晶化します。
しかし、その顔は石となり、深い眠りに入り、舞台は暗転します。
目覚めた時は、牡羊座の1度になっています。
そして、また新たな人生が始まると言うわけです。
まとめ
…と言うわけで、ホロスコープの惑星が「30度」にある方は、サインを総決算し、次のサインに旅立つと言うことになります。

この記事は、松村潔先生の本を参考にさせて頂いてます。
- 度数の意味は「ディグリー占星術」
- サビアンシンボルの意味は「愛蔵版 サビアン占星術」
…がオススメです。
※どちらも占星術「中級者」向けです。

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